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通信・電波・放送行政の曲がり角
2002年04月09日(火)


日本の通信・電波・放送行政は大きな曲がり角を迎えている。『お肌の曲がり角』と同様,曲がり角に差し掛かったら,根本的な対応を迫られる。現在のこれらの行政に関する問題点を,Webmasterなりにまとめてみた。考えてみれば現在の総務省は,郵政三事業と共に変化を迫られ,同時に議論の絶えない時代の行政である。


▼通信行政の曲がり角
まず通信行政として考えた場合,業界は大きな流れに翻弄されている現状がある。つまりインターネットのIPベース通信技術の波である。業界では,2〜3年以内に通信の殆ど全てのサービスがIPベースに向かい,巨額投資をしてきた既存の交換機ベースの網が不良資産化していることは,最近の話題になっている。

もちろん現状では交換機でも充分Payできた。しかしそれも去年までの話であり,もうすぐ過去の話になる。『電話=通信』だったのは去年までのだからである。既にインターネットのトラフィックが電話のそれを抜き去ってしまっている。あと2〜3年で電話が占めるトラフィックは全体の1/10以下にまでなるとの見方が一般的である。

IPの需要の面だけでなく,コストの側から見てもインパクトは充分である。交換機とIPルータでは同等の規模の機器構成で比較しても少なくとも50倍もコストが異なる。もちろん安いのは交換機の方ではない。このIPという非常にセンセーショナルな技術が,半世紀に渡って活躍・蓄積した技術『交換機』やその周辺の回線メンテナンスを異次元の化石にしてしまい,簡単・安いルーティング技術によって,10万人超というNTT余剰人員を生み出したのである。

IT革命とは良く言ったもので,産業革命の時に起こった多くの工場労働者と同じ事が起こっていると言える。NTTの不良資産として最も問題なのは,海外投資のマズさや地域網独占の既得権,加入権云々と言ったことではなく,まさにこの余剰人員のことなのである。余剰人員の行く先にメドがつけられないと,健全なサービスは打ち出せず,NTT法という時代に取り残されつつある規制が障壁になり,通信業界全体が立ち行かなくなる。

交換機のコストやISDNの不良資産云々ではなく,問題は既に,NTT余剰人員や県内限定規制,政・官の既成概念『電話事業=通信事業』が未だに改善されないという問題が残っていることだ。少なくとも現時点でハッキリしているのは電話単体事業は既に終わったのである。県内限定規制などは,NTTを単なる電話会社としてしか捉えていないよい証拠ではないか。

早急にNTTを再び再編しなければ,未だに解決されない国鉄のような不良資産が,再び国民に押しつけられることになりかねない。NTTを持ち株・東西地域・県間国際とに分けたのは,流れの早い現状に追いついていなかった。

つまり今,NTT持ち株会社のもとにNTT電話・NTT通信線・NTTメンテ会社(或いはサービス会社)に再び再編し直すことが,被害を最小限にする策と思われる。また,『NTT電話』の余剰人員は,精算事業団の創設をも視野に入れなければならないほど悪化している。ただし彼らは曲がりなりにも通信の技術者が多いこと(しかも少なくともWebmasterよりも優秀だろう),営業系のNTT職員も地域に密着していたことも功奏し,再就職先は国鉄時代の職員と比較すれば多少明るい。

収益性を考えると『NTT電話』会社には,当分は順当な売上が期待できるドコモ(の電話事業)を含むのが自然だろう。有線で電話関連だけを全て統合しても前途は暗いし,もはや有線無線を区別する必然性は無い。また通信線会社の方は,電話事業と切り離されれば,トラフィックに対して純粋に収益性を求められるようになり,回線交換方式にとらわれずに効率的な投資が期待できるようになる。NTT側の立場の者でもこのような意見が少なからずあることを付け加えておこう。



▼放送行政の曲がり角
次に電波行政として考えると,放送行政と密接に関わっている電波の現状に気づく。つまり,電波の使用効率が放送の既成概念と既得権利にバッチリとハマっていて,身動きが取れなくなっているのだ。この現状を打破することが最重要のテーマで,これが放送行政の問題点といっても良い。

今まで大規模な電波メディアには『放送』しかなかった。つまり個々のデバイスから上り方向があるものが非常にマイナーば存在しなかったころの制度が今も運用されていることになる。ところが携帯電話→ラスト1マイルインターネット・モバイルインターネットと通信の需要が増してきた。

この流れの速さに行政機構の対応に限界が来てしまったところが不幸なのだ。基本的に免許制とは既得権の温存に他ならないわけだが,これが流れの速い潮流にアンマッチし,みるみるうちに既存の機器や施設が不良債権化→制度の硬直化が起こってしまう。このまま放置しておくのはキケンだ。放送の制度が硬直化すると,やがてコンテンツまでが硬直化して,破綻してしまう恐れまである。デジタル地上波への移行費用負担は,まさに地方弱小放送局には気の毒な話である。

民放キー局やNHKと言った存在は,巨大なコンテンツの提供者としての存在でもはや無視できないが,これを報道・新聞機関などの『コンテンツ提供者』として考えるのが筋なのだ。既得権としてのキャリアという考え方は終わっている。

既にCSでは,キャリアとコンテンツ提供者は分離し始めている。この水平分離思想で,CSも一部建前としてでしか分離が実行できていないのは,むしろCSのみしかキャリアとコンテンツ提供者を分離していないためだろう。民放キー局の『自由で一貫した現在の番組編成,緊急放送時などの公共放送の側面が,キャリアとコンテンツ分離が進むと困難になる( http://www.asahi.com/tech/asahinews/K2002011802759.html )』などとする趣旨の発言は,まさに屁理屈であり,これを制度化することによって公共放送的な面は保たれるはずである。

そもそも現在の番組編成が本当に公平で自由だろうか。既得権側の論理が透けて見えて論外。水平分離こそ,より公平で自由な報道と言論が保障されるとWebmasterは考えている。放送業界が,電波を使用したキャリアと,コンテンツ提供者に分離して始めて放送と通信の融合が可能になるのだ。

ただし,巨大なコンテンツ企業が誕生すると逆に恐ろしい面もあることも考慮すべきである。Microsoftがコンピュータ市場を支配していることを想像すればよいだろう。某G党テレビ局と特定球団の結びつきで,某オーナーの独善ぶりを見るに付け,まだ現状の程度であれば(スポーツだからと)苦笑するだけで済むが,複数の分野・あらゆる分野でこのような世論操作の類や抱き合わせが行われるようになる前に,その対策を準備しておく必要がある。(単純に公取委などがコンテンツ会社の規模を規制するだけで良いと思われるが,同時に規正法が施行されるべきだ。)



▼電波行政の曲がり角
いつまでも放送・通信が分離した既成概念に基づく計画を行っていることがキケンなのは既に述べた。ここで結論から言えば,今,より安価により,よりフレキシブルに用途を開放し,そのために変調方式・統一的な暗号化方式を推進することが必要なのではないか,ということだ。つまり単純に『帯域を確保する=周波数帯を確保する』という周波数分離の考え方は終わったのだ。

そのためには,まず今後の需要を見極めることが第一歩という流れになるが,いや,そんなことは,まず不可能に近い。つまり,行政がこれまでのように用途に関して個々の規制を行う必要が無くなっている。逆にいえば,行政はフレキシブルに用途を開放しつつ,変調方式とデバイス帯域の管理のみを行い,その技術的な運用方法の検討や実施の規制が主な役割ということになる。

技術的に言えば,電波使用効率が高く,最近話題の多い『UWB(Ultra Wide Band)・CDMA・OFDM』に代表される次世代の変調方式を前面に押し出し,さらにこれらを積極的に組み合わせる。これによって,より自由な電波の使用が技術的に可能になり,多目的な用途に使用可能な周波数帯をもっと拡大出来るようになる。一部帯域には用途別の制限を設けたりして,許可されたものだけを通過させるための認証などを行えばよい。

無論トラフィックが異常に増えて来れば,それ相応の規制が必要だが,目的別に電波の干渉問題を管理するのは現在の方法は,次世代の変調方式ではナンセンスになってくる。(もちろん電磁波の安全性に関する技術的な規制は,今まで通りに行うべきである。)

携帯電話のトラフィックはこれからも伸びるだろう。それだけの需要があると見込まれる。また,ワイヤレスでインターネットをするという需要も大きい。この両者に根本的に違いがあると言えるだろうか。行政としての対応は,同じ管理方法で構わないと思われる。

何にでも使えるワイヤレスデバイスを無制限に許可すると,確かにワイヤレスで個々にTV動画などをオンデマンドで受信し始めたら電波資源がいくらあっても足りないという側面もある。いくらUWBやCDMA・OFDMが干渉に強いとはいえ,それでもそれぞれの限界を超えれば当然ながら干渉は起こるからだ。しかし少なくとも不幸な電波資源の偏りを改善できれば,より資源を有効に活用したとして電波行政としては合格点になる。

そこで,ある周波数で使える『用途』を制限する現在の形態から,個々のデバイスの帯域と変調方式で制限するだけの規制へと変えることにする。これで不幸な電波資源の偏りが解消され,新しい通信の用途が出てきても,用途別が原則の規制では無いため容易に対応可能だ。つまり今後の放送・通信行政に期待するのは,そのトラフィック・帯域に対する妥当な変調方式の選定や,一部の周波数帯には暗号認証方法によって保障されたデバイスのみが通信できるようにするなどの統一的な認証手法の開発,それぞれに見合った課税方式などといったところだろう。

ITS(次世代道路交通情報システム・ http://www.mlit.go.jp/road/ITS/j-html/ )用の周波数帯(=帯域)が最近用意されたが,省庁連携してせっかく確保したにも関わらず,誰も使わずに終わる可能性も考えられる。つまり用途で縦割りにしているからだ。ITSのような機能ならば,一般的な無線IP網でも充分に実現可能なわけで,これは電波行政として用途に踏み込んで考えることの不毛さを示しているのではないか。

もちろん電波行政は,国内のみでどうにかなるものではない。国際的な協調体制が整わないと,衛星・短波より長い周波数・携帯電話などの国際規格や方式との整合性が取れない事態を招くからだ。

米国もUWBとOFDM・CDMAに関心を持っているようだが,日本もこの方式を積極的に検討・投資し,旗を振っていくことが必要だ。この組み合わせが,電波資源の解決の大きな糸口になると思われる。

例えば,現在もっとも規模の大きな電波行政の問題として,放送と密接に関連しているが,UHF帯のTVだ。このガラ空きの周波数帯を地上波デジタル方式に再分配し,地上波アナログ放送を2011年廃止の計画は既に破綻していると,関係者の認識は一致している。つまり4桁億円規模の巨額移行コストの負担方法が不明瞭なままで,かつ,大規模に移行したあとも,その方式/形態が安定的に維持できるかが問われている。

加えて『放送=通信』という構図がなくなり,もっとハッキリ言えば『放送=通信=インターネット』という流れの中で,電波資源にも(上下非対称だとしても)必ず双方向性が求められる。これが満たされない方式は不良資産になってしまうのだ。現状のままではローカルTV局は,軒並み不良資産になるだろう。現状でも移行費用の問題があるとすれば,既に不良資産としての放送方式とも言えるわけで,どうせ移行させるのであれば,このタイミングで放送の概念そのものを変えるチャンスではないか。

まず放送ありきの視点で電波を語ることがキケンになっている。10年以上前の概念が通用しなくなってきていることを,今,気づくべきだ。地上波デジタル放送が悪いとか言っているわけではないが,例えば地上波デジタル放送の帯域を別な変調方式の音声通信など低帯域のデバイスに解禁するなど,より自由な電波行政の対応が求められている。

赤道上空の夢
2002年04月09日(火)


Webmasterには,恐らく解決できないが個人的にロマン的な野望がある。それは天体観測である。しかし普通の星を眺めるのは趣味ではない。小惑星や人工衛星の観測に興味をひかれる。

しかし困ったことに,望遠鏡などに投じるべき予算は,ほとんど全てパソコン・ネットワーク関連に回されており,予算上の天体観測の優先順位はかなり低い。・・・低いのだが興味が無いわけではない。現在予備知識は殆どない。軌道計算が得意なわけでもなく,何より実際に観測したことすら無い。プラネタリウムに出かけたことがある程度で,初心者にも程遠い存在と自嘲している。困ったものだ。

そんなWebmasterでも何とかなりそうなニュースが飛びこんできた。

▼共同通信『静止軌道に巨大物体発見 直径50メートル、米極秘衛星か』
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=KHP&PG=STORY&NGID=AMAN&NWID=A0080400

▼日経NET『静止軌道上に直径50メートルの物体、米極秘衛星か』
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20020404CIII057404.html

▼Yomiuriオンライン『宇宙空間に50mの巨大物体』
http://www.yomiuri.co.jp/04/20020404ic19.htm


この衛星,アンテナの規模からして,あからさまに日本を含むアジアをターゲットとした巨大な通信傍受衛星(=盗聴衛星)であり,現在も姿勢制御が行われていることから,現在も高度な運用されていることが判明している。50mにも及ぶアンテナの姿勢制御には,かなりの運用コストがかかると予想されるので,結果的に英語圏スパイ連合のエシュロンの一部という説が有力だ。ちなみに『ひまわり5号』は長辺で4mほどなので,比較するとその尋常でない大きさがわかる。

日本を見下ろす位置にはいるが,三沢基地にもエシュロン関連の設備があったとされることから,主なターゲットは隣国の大国と北方の大国であるとも言われている。・・・が建前としての対象だった場合には,国内を監視する道具にさえなる『盗聴』の道具が当局の手の側にあることは,不気味で危険なことに変わりはない。


・・・そんなことは,Webmasterにとってはこの際どうでもよい。注目すべき記事として『7―10等星程度の明るさで,場合によっては双眼鏡でも見える』というものである。貧乏観測にはお誂えのイベントではないか。

そんなわけで東京から東経120度赤道上空36,000kmにある50mの衛星は,どの方角に見えるのだろうか。幸い便利なサイトを別件で知っていた。

その別件とは,Webmasterは引っ越し直後に『巨大なビジネスホテルが西側に隣接しているため,我が家ではCS放送受信は恐らく無理』と勝手な見込みで諦めていたが,先日『正確に方角を測定することで,もしかしたら受信は可能かもしれない』と思い立ち,参考にしたサイトがあった。

▼HAMERS『受信点の北緯・東経・偏西角・海抜、衛星の東経から方位角・仰角を算出します。』
http://www.hamers.co.jp/webshop/td/sd.html


結果,磁北から212.4度弱のJCSAT-4が向かい側のビジネスホテルの看板にかかるがギリギリOK,JCSAT-3は階上のベランダが邪魔で手摺内側の受信はギリギリNGと言ったなかなかキワドイ状態であることが判明。現在ベランダからせり出してのアンテナの設置を完了させ,何とか受信に漕ぎ着けている。ベランダからせり出す状態だと景観を損ねるなどというクレームが出かねないため,全く本意ではなかった。クレームが入るまでは現状で行くことにした。

さて,JCSAT-4号よりさらに4度ほど西に位置する東経120度の盗聴衛星だが,我が家からでは看板にギリギリ隠れてしまい観測不可能というわけだが,海抜まで考慮する計算にちょっとだけ感動してしまった。このJavaScriptは勉強になったのであった。

機会があったらこの盗聴衛星を観測してみたい。

ちなみに,この種の一般的な観測方法としては,一定時間カメラのシャッターを開放し,地球の自転に応じた星の軌跡を長時間露出により撮影。通常,軌跡は同じ長さ・同じ方向に描かれるが,人工衛星や地球に近づいている小惑星は,他とは異なる軌跡を描く。これが既知のもの以外で,かつ航空機でないことが確認されれば『発見』ということになる。今回の盗聴衛星は,静止衛星だったため,写真にはほぼ点として写る。

▼日本スペースガード協会『日本近辺の静止軌道上の巨大(約50m)システム』
http://www.spaceguard.or.jp/SGFJ/batters/x00639/x00639.html



しかし,『この際どうでも良い』と言いつつも気になるのは,東経120度付近は丁度何も無い空白地帯である。静止衛星が乗る軌道は,赤道上空36,000kmのみであり,衛星同士が干渉しないように一定の間隔(2度以上)を持って置かれる事になっていることから『資源』と言うことが出来る。既にこの資源は使いきっている状態とも言え,貴重なものである。そんな貴重な資源が不自然に120度付近だけ何も無いのは,実に怪しい。一般市民には知らされない公然のヒミツというヤツだろうか。そうでなければ東経120度には何らかの静止衛星の存在が公になっていても不思議は無いハズだ。

タイや中国がこの近辺に静止衛星を打上げる計画があるらしいが,結果的にNPOによる市民的発見がなされるまで公の機関からの発表ないしは情報提供がなかったという事実だけが残り,情報統制が現在も強力に存在することを示している。通常なら米国空軍による宇宙ゴミや国籍不明衛星の報告リストに載っていてもおかしくないのだが,この衛星はリストには無かった。


技術や機材が揃えば,以下のような大きな発見も夢ではないか?

▼Yomiuriオンライン『小惑星、878年後に地球に衝突!?』
http://www.yomiuri.co.jp/04/20020405i501.htm


(いやオレには到底無理・・・とまた自嘲する。)

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