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フィリピンの文化 ♯12
大騒ぎのクリスマスパーティー
2003.12.19(金)
8月末になるとラジオからクリスマスソングが流れ、10月にもなると、ハロウィンのかぼちゃとともに本格的なクリスマスの飾り付けが始まるフィリピン。1年の3分の1はクリスマスなのだから、人々が「12月」にかける思い入れというのは筆舌に尽くしがたいものがある。

今年のクリスマス前はとても忙しかった。友人、知人、大学関係、お世話になっているNGO、など、本当にたくさんの方々からパーティーに招待をいただいた。もちろん、時間の制約上、実際にはそんなに多くのパーティーにお邪魔することができたわけではないが、それでも、お誘いいただくのは嬉しいものだ。

なんといっても楽しかったのは、お世話になっているNGO、COM(Community Organizers Multiversity)のクリスマスパーティー。「この時期、夜は皆それぞれにパーティーの予定が入っていて忙しいだろうから」という気遣いのもとに正午から開始されたパーティには、スタッフとオーガナイザー、その家族、元スタッフ、そして、何人かの住民組織のリーダーたちと、ごくごく少数のゲストだけが集まった。
「うちのパーティーはきわめて内輪でやるの。理事とか偉い人がいると羽目をはずせないでしょ。気心の知れた仲間だけで、めちゃくちゃにやってストレス発散するの。」
とは某スタッフの弁。
COMのスタッフの手作りのお料理でランチを楽しんだ後、サンミゲルビールや赤ワイン、そして、私がチャイナタウンで入手して手土産に持参した日本酒を飲みながら、「椅子とりゲーム」、「早当てクイズ」などなどの他愛のないゲームに興じた。実にクダラナイことをみんなよくも思いつくもので、贈答品のフルーツバスケットを開封して中のオレンジやリンゴを取り出し、「全員で輪になって音楽にあわせてそれらを時計回りに隣へ隣へとパスしあって、音楽が止まったときに持っていた人がアウト」だの、「ビール早飲み競争」だの、「バナナ早食い競争(私は負けました…)」だのと、おおよそ「貧困からの解放」を謳うNGOとは思えないような破廉恥な盛り上がりぶり。バナナやリンゴが宙を飛び交うなか、参加者から20ペソ、50ペソといった寄付金を募って賞金が設定され、「ダンスコンテスト」が始まった。チャチャだのタンゴだの「ミンダナオの舞踊」だのと大騒ぎで2時間踊り続け、子供のダンスには「おひねり」が飛ぶ。そもそも、コミュニティ・オーガナイザーたちというのは人の心をつかんだり自己表現をしたりというコミュニケーション能力が格段に高い。歌もダンスも手遊びも非常にうまく、そのつど、場は沸きかえる。とくに男性陣は、ダンス・インストラクターにもなれそうな勢いで女性をリードする。いったい、どこで練習しているのだろう??
締めくくりには、誰がいつの間に持ち込んだのかわからないオーディオセットで1時間のカラオケ大会。さぞかし、近所にはご迷惑をかけたことだろう。満足してオフィスを出たときには外は真っ暗になっていた。何人かのスタッフはそのあとさらに、夜の7時から開催される姉妹NGOのパーティーに流れたのであった。あっぱれ。

私が所属しているフィリピン大学の研究センターのパーティーもなかなかのものであった。スタッフは小さな子どもたちを連れて参加、ダンスミュージックにあわせて子どもたちの踊ることはしゃぐこと。大人も椅子とりゲームなどをさせられ、プレゼント交換をして、最後にはなんと500ペソがあたる「くじ引き」大会(ちなみにこれは経費!)。日本の大学内の研究センターでは考えられないようなパーティーだった。

本当にこの時期は、毎日、どこを歩いていても大音量のダンスミュージックやカラオケの音があちこちからきこえてくる。ジープニーや電車の中も、これからあげるのかそれとももらったのか、クリスマス包装の大きな包みを抱えた幸せそうな人たちであふれている。ボスが部下に、あるいは主人がメイドやガードに、心づけを渡す習慣があるらしい。また、親戚や普段から親しくしている知人の子供に会う機会があれば"mamasko"という心づけのお金をあげるのが一般的のようである(まるで日本のお年玉のようだ)。
一方で、貧しい子供たちは歌を歌ったりタンブリンをたたいたりしながら家々を回り、門の前で"Mamasko po!(クリスマスの心づけをちょうだい)"と叫ぶ。ときどき、大人の人もタンブリンを持ってまわっている。郵便配達のおじさんでさえ、普段はポストに投げ入れていくだけなのにわざわざ呼び鈴を押して手渡し、"Happy Christmas!"(このようなときは、心づけを渡すのが習慣らしい。)
プレゼントを用意したり、こうした"mamasko"の声にこたえたりと、この時期はとにかくお金がかかる。それ加え、クリスマス前には、肉も野菜もなぜかどんどん値上がりする。高くても皆必要に迫られて買うからだろうか。貧富の差があまりににもあらわになってしまう時期でもあり、これでは、犯罪が増えるのも当然だろうなあと思わせられる。


        
 

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