にもかかわらず。
人々は5月10日の選挙に向けていよいよ忙しく、それを追う私も忙しい。本当に、この国の人々の選挙にかける情熱といったら、想像を絶するものがある。この炎天下、いたるところで地道なキャンペーンが行われている。大統領候補や知事候補、市長候補のレベルでは、派手な演説会の裏で、報道されない数々の「草の根」の運動が進行している。市議会議員候補とその支持者、Party-Listの支持者たちは、それぞれにおそろいのユニフォームを着て、それこそ、毎日毎日、有権者の家々をまわっている。
私は、左派系Party-List"A○BAYAN"のケソン市DistrictⅠでキャンペーンリーダーをしている友人がいるので、彼に頼んで、そのキャンペーンにくっついて回らせてもらっているが、まあ、フィリピン人は怠け者だなどと誰が言ったのだ！と思うほどに、彼らは、一日中働いている。
朝の8時に集合し、横断幕をはったジープニーに乗り込んで出発。街頭でビラをまき、トライシクルやジープニーのターミナルに行ってはステッカーを配り、市場では「貼ってください」とお願いしながらカレンダーを配り、スラムエリアの一軒一軒を訪問して、組織の方針を説明し、金槌と釘をもってスラムを歩き回り、ポスターや横断幕を貼らせてほしいと頼み続ける。
「OD」という言葉がある。"Operasyon(Operation) Dikit"を略した用語だ。Dikitとはタガログ語で「貼る」という意味。フィリピン大学第三世界研究センター発行のいわゆる「活動家用語辞典」、"The
Language of Organizing"を調べてみると、
「アクティビストによって行われるプロパガンダ活動を表す用語。政治的スローガンを掲げたポスターを壁やその他、人通りの多い場所に貼ること。」
