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2004年大統領選挙 ♯10
選挙速報 その1 −上院のニックネーム戦略 −
2004.5.25(火)
大統領選の結果は、どうやら、アロヨ大統領、デカストロ副大統領の線で落ち着きそうだ。選挙からすでに2週間が経っているのにまだ「…そうだ」というあいまいな言い方しかできないのは、COMELEの発表はあくまでも非公式のものであり、結果を公表するのは議会だから。公式発表はいつになるのやら。

一方、上院選の結果は昨日、正式に発表された。改選12議席中、与党連合K4から6人、野党連合KNPから5人が当選。11位以下は大接戦なので、最後の一人はまだ決まっていないという。
当選が確定した11人の顔ぶれがおもしろい。
一番得票数が多かったのは、案じられていたとおりにMar Roxas(ロハス)氏。「ミスター・パレンケ(市場)」のニックネームで知られる、元貿易相。どれほどの財力があるのか、派手なTVコマーシャルを作成、フィリピンで昨年末に大ヒットしたおちゃらけ系ソングの替え歌に乗せて自分の名前を連呼したことで、一気に有名になった。
同様に、「ジャ、ジャ、ジャ、ジャーンビーィ!」という陽気なキャッチコピー(いや、キャッチコピーじゃなくて名前そのものなのだけれど)で知られるJamby Madrigalも見事当選。

注目すべきは、前大統領でいまは獄中にいるエストラダ氏の息子にあたるJinggoy Estrada氏が上院に当選を果たしていることだ。エストラダ氏も俳優出身だったが、息子も俳優。こちらも、"Jinggoy, Jinggoy I need you♪"という子供向けの歌謡曲で知られている。もっとも彼は、エストラダ元大統領の特別横領罪(略奪罪)裁判で共同被告人として起訴(保釈中)されているのだが!

観光庁長官出身のRichaed Gordon氏も当選。彼のニックネームは"Wow"。なぜWowなのかといえば、彼は観光庁時代に、フィリピン国内の観光スポットの発掘と活性化を目的とした"Wow Philippines"というプロジェクトを立ち上げたためである。イントラムルス内に国内観光案内所や地域物産展、地域紹介イベントステージを設置したり、駅や道路に観光スポットの美しい風景写真を掲示したりというかなり大規模なプロジェクトで、アロヨ大統領と彼の顔写真の横に”Wow”と書かれたそれらの掲示物は、国民にかなりのインパクトを与えていたのだ。
ちなみに、Wow Philippinesにはウェブサイトがある。えらく凝っている割には肝心の文字がひどく読みにくかったり、やたらと写真が重かったり、不要なのに壁紙が使われていたり…とつくづく奇妙なサイト。
http://www.wowphilippines.com.ph/
その奇妙さを体験したい方はこちらからご覧ください。なお、開くと突然に音楽が鳴り始めるのでご注意くださいませ。

要は、おもしろいニックネームを売ったもの勝ちなのだろうか??

私がひそかに応援していたCarlos Padilla(カルロス・パデリア)氏は落選だった。彼は先日までヌエバビスカヤ地方から下院議員として出ていた人で、人権活動家としての長い経験をもつ。都市貧困地区の立ち退きに批判的であり、一般の住民にもわかる易しく明確な言葉で、なぜ立ち退きはいけないのかという論理的な主張を政権にぶつける、非常に有能なかたである。ちなみに急進左派のParty-ListのBayan Munaの系列のグループも彼を推していた。すばらしい方であるだけに、残念である。もう下院議員にも戻らないし、今後はどんな活動を展開されるのか、これからの彼の方向性に注目したい。


<参考>
ABC-CBN(テレビ局))速報
NAMFREL(クイックカウントをおこなう民間団体
COMELEC(選挙管理委員会)
フィリピン上院


        
 

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