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日和見バナナ |
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We are students of development.
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Hiyorimi Banana by "saging"
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トラブル ♯4
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眼科に行く
2003.11.12(火)
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先日来、眼球に、これまで経験したことのないような痛みを感じるようになった。痛みは夕方になるほど強くなり、ひとつのものを続けて見ることができない。特に、パソコンやテレビ、携帯電話の画面を直視することができない。夜、フィールドから帰ってパソコンに向かっても、届いたメールを読むのがやっとで、聞き取りをしたデータを入力しようとしても、10分で目が痛くて開けていられなくなる。果ては、街中できらめいているクリスマスのネオンサインを見たり携帯電話を使ったりすることすら難しくなり、光るものを無理に直視すると、頭まで痛くなるようになってしまった。
これはさすがにおかしいと思い、ふと、以前にフィリピン大学の同じ研究センターにおられる日本人の方から、同じような症状をきいたことを思い出した。彼女は、知人の紹介で「マニラでも一流の眼科」で検査を受けてドライアイと診断されたとおっしゃっていた。それまで、ドライアイというのは冷暖房の効いたオフィスで一日中パソコンを使っている人たちの職業病だと思っていた私はその話を聞いたとき、ものすごく驚いた。彼女はそれまでの数ヶ月、携帯の電波も届かないようなフィリピンの田舎と、私と同じマニラのトンド地区のスラムでフィールド調査をなさってきた方で、パソコンを使う時間は私よりもずっと少ないと思われたからである。彼女の場合、ドライアイと診断されたときの原因は主にストレスとのことだったが、実際、日本よりもずっとしっかりとしたインフォームド・コンセントを受け、目薬を処方されて良くなったとのことだった。
このままでは日常生活もままならないと思った私は、さっそく彼女に助けを求め、その眼科の場所と電話番号を教えていただいた。私は23年間、視力検査と歯科検診に(だけ)は自信があり、ずっと1.2の視力を維持している。記憶のかぎりでは、眼科というものにはいまだかつて行ったことがない。どきどきしながら教えてもらった病院に電話をかけて事情を話し、「できるだけ早く診ていただきたいのですが」と言うと、電話に応対してくださった方はとても丁寧に「では明日来てください」とおっしゃった。
その眼科とは、外資系企業やショップが立ち並ぶマカティの一角、Rockwell Centerの9階にあるAsian Eye Institute。幸いなことに、私の下宿からはジープニーで1本。Powerplant Mallという、値段も内装もアメリカのような、もと発電所だったショッピングモールを超えて行く。周りの道路や街路樹も、マニラフィリピンらしくなく、きれいに整備されている。
広く清潔な病院で、問診表(英語!)に記入したあと、待合室で10分ほど待った。日本人の受診も多いのか、日本の保険が効くという日本語の文章が受付に掲示してあり、ロビーには日刊まにら新聞もある。
名前を呼ばれ、美しい英語を話す女性のドクターが検査をしてくれた。数種類の視力検査から、目の内部を顕微鏡で見る検査など。彼女は、素敵な英語で「いつからフィリピンに来ていますか」、「どんな地域に出入りしていますか」、「毎日どのくらいの時間ジープニーに乗りますか」、「家で冷房は使いますか」、「パソコンは毎日使いますか」など、私のフィリピンでの生活習慣について詳細に質問し、私の答えをすべてコンピュータに入力した。
数十分待った後、別のドクターに別室に呼ばれた。ここの病院を紹介してくださった方を診察されたドクターである。検査の結果はやはりドライアイ。
「あの、私は冷房も使わないしPCも日本にいたときよりは使わないし、TVもまったく見ないんですが…。それに、これといったストレスもないですし…」
と言うと、ドクターはいとも簡単にこうおっしゃった。
「Pollutionです。地方からマニラに出てきた人や外国人にはよくあることです。トンドでのあなたの活動と、ジープニーに長時間乗ることが原因になっていると思われます。ジープニーに乗るときはサングラスをかけたほうがいいでしょう。目薬を処方するので、日本に帰るまで1日に3回は使い続けてください。」
とりあえず、その目薬を使い続けると数日で症状は驚くほどに緩和され、PCを触ることもできるようになった。けれど…、マニラの大気汚染はそこまできていたのか…。最も暑かった3月〜5月は、朝から目がチカチカして、「ああ、きっと光化学スモッグが出ているだろうな」と思ったことが何度もある。気をつけなくては…。 |
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