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またか?今度はBlu-ray Disc vs DVDか
2002年02月20日(水)


▼毎日インタラクティブ『電機大手9社、次世代光ディスクの統一規格化で合意』
http://www.mainichi.co.jp/digital/computing/archive/200202/19/1.html

▼ソニーや松下など9社が、光ディスクレコーダ規格「Blu-ray Disc」を策定
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20020219/blu_ray.htm


映像記録メディアの統一感の無さには,いい加減うんざりする。
不毛な戦いがあまりにも有名な『VHS vs β』で,規格競争が消費者にメリットをもたらさないことが既に判明しているにも関わらず,である。歴史は繰り返されているのである。つまり企業は学習していない。それどころか巧妙になってきている。

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ひたすら知的所有権などの権利を主張しつつ,業界内シェアやソフトなども含めた囲い込みで有利な位置を確保しようと,各メーカー主導で新たな規格がつぎつぎと乱立する。Flash ROM媒体での規格競争も本格的になってきた。

そこには消費者不在の企業側の論理のみが存在し,しかも,メジャーな規格であるにも関わらず,その仕様や利用にはライセンシーやロイヤリティーがあるなど,排他的であり公正な商慣習とは言い難いものがある。


再生専用タイプのDVD(DVD-VideoやDVD-ROM)の時は,特定の大企業が集まりDVDフォーラムという協議会を設立,各社の技術/特許などを持ち寄り,利害などを調整しつつ規格策定が行われ,外圧もあり,最終的に統一規格を出すことが出来た。

DVDフォーラムという特定の大企業のみが支配権を持っていることに少々疑問を感じることがあるかもしれないが,ライセンシー/ロイヤリティーの仕組みや金額などが現実的なものであるため,ここまでは通常の商習慣として受け入れることができるだろう。

しかし記録型のDVDでは,ご存知のように3つの規格に分かれてしまった。
当初DVDフォーラムで,記録型DVDについても統一規格の策定を目指していたが利害調整が最後まで決着しなかった模様で,まずソニー・リコー陣営(+RW)が最初に話し合いの場から抜け出し,次いですぐにパイオニア陣営(-RW)も抜けていった。残った東芝・松下等の陣営(-RAM)を含めて相互互換性の無い3つの規格が流通することになってしまったのである。

さらに最近ソニーが+RWを見限り,翻って-RW搭載のパソコンを出荷するようになり,哀れ+RWは見捨てられてしまったと言える状況である。規格企業としての倫理は,一体どこへ行ってしまったのか。+RWを買ったユーザはどんな思いを強いられるというのか。


記録メディアの規格が信頼されなければ機器が売れず,結果として統一規格がでなければ規格企業も潤わない。要は自業自得である。しかし,このような廃退的な企業戦略を繰り返すことは,健全な市場の形成を阻害していると言い切ってもよいだろう。

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さて今回,ポストDVDと言われている次世代映像記録メディア『Blu-ray Disc』が発表された。日韓欧の大手9社による統一規格と紹介されている。『ようやく統一規格が出たのか。よかった』と思っていた


ところがよく見るとDVDフォーラムによる規格ではない(東芝の社名が大手9社にはない)。しかもDVDフォーラムでは次世代DVDの記録型について引き続き検討しているわけで,今回のBlu-ray Discは,本当に統一規格と言えるのだろうか。

実は,Blu-ray Discと次世代DVDは競合関係にあると見ることが出来る。この点について,『従来のDVDはNTSC(PAL)用、Blu-ray Discはハイビジョン用という住み分けが可能と考えている』としているが明らかに苦しい。次世代DVDがハイビジョンをサポートしないわけが無く,従って次世代DVDの息の根を止めるという戦略が見え隠れしているのである。

つまりこの9社の目論見を以下のように推測することが出来る。

DVDと標榜するとなると,現在の乱立している3つのDVDの記録型メディアをサポートする必要が出てくると予想され,これによって発生する利害を調整するのはきわめて困難である。尻拭いはイマサラできないというわけだ。

したがってDVDではなく完全に新たな別規格として立ち上げることにした。既存DVDを読込み可能ということにしておけば許されるだろうという読みがあると思われる。ついでにライセンスなどの問題に決着がつかなかったT社をカヤノソトに押し出してしまうことにも成功した

さらに,現在でも問題になっているリッピング対策(コピープロテクトに関する技術的な問題)がDVDでは充分ではなかった(DeCSS破りなど)ため,抜本的なプロテクト技術の導入が必要だったことも背景にあることも否定できない。
DVDとは別規格なので,まったく互換性の無いプレーヤ/レコーダデッキとして出荷することも可能であり,このことによりコンテンツ管理がやりやすくなる。Blu-ray Discでは,ユニークな(一意の)番号があらかじめメディアに書き込まれ,これを複製防止に役立てるという。映像タイトルの囲い込みまでも視野に入っているのは当然だ。


ここで,次世代DVDが出ないことになってしまえば,民生用次世代記録メディアはBlu-ray Discのみとなり,確かに規格統一と言えるかもしれない。しかし現時点でDVDフォーラムとしては諦めてはいないだろう。この辺りを巡っての水面下の攻防は,実にドロドロとした政治的な臭いが漂っている。結局その悪臭はBlu-ray Discに集約されていると言える。

弱肉強食の経済原則で,強者が弱者を淘汰して行くのであれば健全だ。しかし,談合とかカルテルとは若干違うのだろうが,今回の一連の流れは消費者としては今一つ納得できない。現行法ではこのような商行為は許されるのだろうが,それは独禁法の死角と言っても良いのではないか。

Webmasterは究極的には,一部の企業が知的所有権を独占し,その立場を利用して囲い込むような事業戦略そのものを非競争的な行為と見なし,例えばメディアの規格のようなものはまさにそれで,ある一定のシェアが確保された段階で支配的な事業形態と見なされ,ライセンシーなどを公の機関で公正にかつ公開管理に強制的に移管ないしは監視するような仕組みが必要になってくると考えている。

また,シェアが大きく割れている場合に(寡占状態),相互の互換性を確保させるためのクロスライセンシー/クロスロイヤリティーを義務付けるという規定も必要かもしれない。これらは近頃の通信業界での『支配的事業者』という考え方や,公式系サイトのコンテンツ囲い込み防止などの問題と同じ位置付けと言っていいだろう。

規制緩和のご時世だが,逆に独占禁止法の運用/監視や,あるいは法律自身を強化していく必要があるのではないだろうか。


※上記ロゴは,(株)シャープのニュースリリース( http://www.sharp.co.jp/corporate/news/020219.html )より引用

ひまわり後継機は国産ロケットで打上げへ
2002年02月16日(土)


▼YomiuriOn-Line『ひまわり後継機はH2Aで打ち上げ』
http://www.yomiuri.co.jp/04/20020216i301.htm

『アリアンも失敗したことだし,どうせ失敗するなら国産で』という理由かどうかは定かではないが,結局,H2Aで落ち着き,国土交通省と宇宙開発事業団との間で,信頼関係を再構築することに決めたようである。

両者は過去に失敗の責任や費用負担の責任逃れなど,裁判沙汰(民事調停)になるまでの醜い争いを展開してきたという苦い経験があるわけだが,そんなことをやっているような場合ではない。自己の利益ではなく,日本の為に税金を有効に使って,国際競争力を高めなければ,お互いにその担っている使命を果たせないからである。

さて,DASH衛星の事故では,以下のような結果が出ている。

▼NIKKEI NET『実験衛星の失敗、配線ミスが原因・宇宙研』
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20020216CCCI121515.html


この衛星側の設計図(実態配線図のようなもの)にミスがあった模様だ。
また,このミスを試験過程で発見できないという手順にもミスがあることになり,今後の改善が待たれるところである。

このようなシステム工学は,やるべき事が非常に広範囲に渡るため,非常に優秀な技術責任者が居て,かつ全てを把握していないとダメなわけで,この点は,つぶの揃った有能な技術者の数を揃えるのは得意だが,突出した能力を持った人材を育てることが出来ないという日本の環境を示していることになる。

今回の対策として,多くの技術者がお互いに監視し合うようなシステムが構築出来れば,より日本の現状に即した対応となり得るのだが,カリスマ技術責任者の登場を期待してしまうのは,果たしてWebmasterの無い物ねだりなのだろうか。

ところで,DASH自体が急遽試験を実施することになったものだったことは触れておこう。『今回のH2A打上げにあたり,本格的に運用するような衛星は誰も頼んでくれなかったし,無事に打上げるという自信も無い。かと言ってカラで打上げるのも勿体無い。仕方が無いから自前で何か実験するか』と言ったノリで,民生用部品の耐久試験(つばさ)や大気圏再突入試験(DASH)をいわば捻出してきた感がある。従って,衛星自体の成否はこの際オマケだったことを考えれば,既にH2Aプロジェクトは成功したと言える。この点を説得材料に,国交省にアピールしたのではないかと,Webmasterは邪推している。

NTT局舎の位置がわかる地図
2002年02月16日(土)


ADSLは『工事してみないと,つかえるかどうかわからない』とか『実際に接続しないとどの程度の速度が出るかわからない』といった悩みを必ず解決できるわけではないが,NTTの局舎がどこにあるのかわからないと,まず話にならない

Webmasterは2002年1月に引越をしたのだが,この際,ADSLが高速にリンクしないような地域へ行くのは絶対に避けたかったため,ほぼ23区全域のすべてのNTT局舎の位置を調べ,新しい地図を買ってきて赤マジックで印をつけた。
これを不動産屋に見せながら『この赤い印から直線で700m以内で。これだけは譲れない』と指定した。
現在のWebmasterの住居は,NTTから直線で0.7Km,道のりで1.0Km弱である。

余談だが,この引越でいくつかの不動産屋をあたったのだが,この700m指定の意味を理解できる担当者にめぐり合えるまでに,少々時間がかかった。特に年配の担当者は,接客が濃慣れているせいか,平気で2km超の地域の物件を『どうです。いいでしょう,これ。』などと持ち出してくる。700mの件を話しても『そういうのってどうにかならないモンですかねぇ。実はどうにかなるんでしょ?』といった具合で,話が全くかみ合わず本当に困った。

不動産屋の担当者は,同じ事が考えられる同世代の方にお願いすると話がうまく進むようである。ADSL全盛のご時世,こういったNTT局舎に近い物件を探す客がかなり多いのではないかと勝手に思っていたのだが,実際にはそうでもないらしい。各不動産屋で事情を説明する毎に,Webmsaterが変わり者なのか,と考えさせられることになったが,ファイバー通信が普及しない現段階では,引越時にNTT局舎の位置を確認することは重要であることは間違いない。


▼Broadband Watch『イー・アクセス、収容局までの道なり距離を測定できる「レッツ距離測定」』
http://www.watch.impress.co.jp/broadband/news/2002/02/15/ea1.htm

▼eAccessトップページ
http://www.eaccess.net/jp/


そんな引越で問題になるのは,NTT局舎の位置を網羅した地図がないことであった。しかし最近は便利なサイトが登場した。道のり距離がわかるのも有り難いが,なんと言っても地図上にNTT局舎の位置が表示されるのはかなり貴重である。

引越を考えているのであれば,このようなサイトを参考にしながら,希望する地域の地図に印をつけて不動産屋へ持っていくと良いだろう。

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